2011年11月25日
子宮内膜症の症状緩和に鍼灸

子宮内膜症の代表的症状はだんだんひどくなる生理痛で日常生活に支障をきたすほどひどくなるものもある。毎月寝込むほど痛む、鎮痛剤が効かないなどあれば我慢しないで一度検査を受けた方がいい。人によっては生理以外のときでも下腹部に痛みや違和感を感じることもある。
子宮腺筋症は子宮内膜が子宮筋層内にもぐりこんで増殖する病気で出血量が増える。病院の治療は手術と薬物療法がメインであるが、症状、進行期、本人のライフスタイル等をよく考えて選択すべきだ。子宮内膜症は良性の病気でそれ自体で命にかかわることはないので閉経まで自分に合った治療で症状をコントロールしていけばいい。出来れば負担が少ない治療が望ましい。
初回の治療は生理予定日の2~3日前に行なった。その時の症状は軽い下腹部痛、首肩の凝り、気分のイライラ。PMSの症状にも共通する点がある。生理痛は副交感神経亢進と関係するので胆経、三焦経の井穴刺絡。腰部、仙骨部の圧痛点3ヶ所と下腿内側2ヶ所に円皮針。あと体を冷やさないようにして毎日足湯をすることにして治療終了。9日後に子供の風邪がうつり咳が出るとのことで来院。今回の生理は出血量は同じだったが、痛みは軽かったと報告を受けた。

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2011年11月22日
過剰なマッサージによる首痛

痛い場所は肩上部の僧帽筋、耳の下の胸鎖乳突筋の付け根部で両側ともほんの少しの首の動きで痛み、ほとんど動かせない。しびれはない。このままでは目薬は点せないし、お茶も飲めない、歩くのも首に振動が伝わらないようゆっくりでとても辛そうである。
このような急性の筋筋膜性の痛みに対しては痛いところに深く鍼を刺すことは禁忌で、なるべく遠隔治療で局所を治療するなら円皮針、ソマ、糸状灸がいい。手の陽経末端部の刺激で左右に20度くらい動くようになった。次に百会の刺絡をしたら少し悪くなった。肩甲間部の圧痛点を圧迫すると痛みが少し減る。そこに円皮針。首の後屈はあまり改善していないが初回はここで終了して翌日2回目の治療をした。
昨日の痛みを10とすると今日は7。左右は20度くらいで昨日から悪化していない。後屈は昨日よりほんの少し改善しているが、まだ目薬は無理。今日は先ず指と細い棒で首と肩を軽く押しながら痛みやコリのあるポイントを探してそこが首の動作時痛と関係あるか調べた。5ヶ所に太さ0.14mmの細い鍼を約2mm刺して5分ほど置き、首を動かしてもらうと後屈が幾らか改善して棚の上の時計を見ることができるようになる。しかしまだ目薬はさせない。
次に腰を調べた。座位でマッサージをしているので腰にも負担がかかった可能性があると考えた。仙骨の上に2ヶ所圧痛点を認めた。そこを軽く押して首を後屈すると先ほどよりずっとよくなっている。そこには約5mm刺鍼して首を動くところまで後屈させる運動鍼を行なう。目薬をさせるくらいまで動くようになっている。左右も可動域が広がり患者さんは嬉しそうである。2回目の治療はここまでにしてもう1回明日来ていただくことにした。あと一回治療すればもとのようになると思う。

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2011年11月20日
介護で生じた急性腰痛

患者さんは37歳の男性。10年ほど前ギックリ腰で鍼灸治療を受けたことがありその時は数回の治療でよくなったので今回も鍼灸をやってみようと来院された。本人は体重約90㎏のがっしりした体格であるが、なるべく鍼は刺さず軽い刺激での治療を希望された。
現状を確認すると腰を前屈すると30度くらいで痛みが出る。後屈は腰が不安で出来ない。右には捻れるが左に捻ると痛い。側屈は左右とも痛みが出る。左の大腿後側にしびれを感じ歩くと左脚にいくらか力が入らない。
体表に痛みを感じさせず鎮痛効果が高い治療、刺絡と円皮針で対応することにした。左の膀胱経、胆経、肝経の順に井穴刺絡をする。一穴ごとに動作痛がなくなり、患者さんは不思議そうに何度も体を曲げたり捻ったりして確認されるが痛みもしびれもほぼ完全になくなった。右側屈でいくらかつっぱり感が残るがこれはもともと体が硬いことによるものだと仰る。
最後に百会の刺絡をして左臀部に円皮針を1ヶ所貼り、体の緊張を取る為の一人で出来る操体法を指導して治療を終了した。全てではないがこの症例のように痛い場所は触らずに患部から離れたツボに軽い刺激で鎮痛できる場合もある。

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2011年11月17日
うつ病とPMSの鍼灸治療

また生理前からうつが重くなり、生理中はうつが深刻になる。半年前までピルを3年間服用していた。いま辛いことは午前中と夕方4時から7時の気分の落ち込みと不眠、食欲不振、それと何をやるにもおっくうになっている。いままで鍼灸の経験はない。
初回治療後の経過は当日の夕方、気分の落ち込みが少なかった。翌日は少し体がだるい感じがしたがお灸をしたら幾らか楽になった。睡眠は改善して朝6時くらいまで眠れるようになった。交感神経を働かせる為に出来るだけ日光を浴び、調子がいいときに散歩をするように生活を変え、朝と夕方一日2回手と足の指先にお灸を続けている。
二回目の治療は初回の治療に加えて頭頂部5ヶ所に刺絡をして、側頭部2ヶ所に5分間置鍼をした。睡眠導入剤が3月の大震災後1種類、1ヶ月前にもう1種類増えている。先ずは短期的目標としてこの2種類の薬を減薬できるように治療を続け、約1週間後に生理が来るのでその時の症状が軽くなるよう自宅施灸のツボを4ヶ所追加した。

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2011年11月06日
膝関節症と足首捻挫

膝が痛い時、その原因が膝そのものにある場合、足首や足指の場合、大腿部の筋肉や腰にある場合といろいろで先ずそこを見極めて治療点をきめる。この方は十数年まえに習慣性の足関節捻挫を予防する為に両足関節に人工靭帯の移植手術を受けている。
足首と膝痛の関係を調べる簡単な方法はベットの上で四つん這いになりおしりを踵に下ろしていって膝にどう痛みが出るか、そして次にベットの端に足首を出して同様な動作で痛みがどうかを見れば分かる。足首に問題があるので触診してみると左に2ヶ所右に1ヶ所の圧痛点がある。他にも左母指の付け根にも圧痛がある。それらの圧痛点に1ヶ所円皮針を貼っては痛みの動作でチェックしながら治療する。
正座での痛みが90%取れたので、階段を降りての痛みがどうなっているか試してもらう。少し痛みは残っているが手すりを使わず1段ごとに足をそろえずに下ることができる。最初なのでこれで治療終了した。3日後もう1度来院された。調子がよかったので昭和記念公園のコスモス見物に出かけ3時間ほど歩いた。今回はもう一度足首の圧痛点を調べるとともに大腿部の筋肉のこりを調べ井穴刺絡をして終了した。

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2011年11月01日
腰椎すべり症と脊柱管狭窄による痛み痺れ

かなり生活に支障がでる状態だったが麻痺症状は出ていなかったので手術はしばらく先に延ばし、3ヶ月間鍼灸治療をしてみることにした。3ヵ月後痛みは40%痺れは20%改善した。担当医は生活に支障がなければ手術はしなくていいので定期的に診察を受け、鍼灸をもうしばらく続けるようにとのことだった。
初診から1年間は一週間に1回、その後は2週間に1回治療を続けている。鎮痛剤も少しずつ減って1年前に中止した。今でも完全に痛みは取れていないが、無理をしなければ生活に問題ない。足の痺れも指先に少し残っているだけになった。この1年安定しているが母親の介護でストレスがかかったとき少し悪くなった。
他の方でもそうだが痛みは器質的なものだけでなく心の状態も反映する。この患者さんは現在3ヶ月に1回医者の診察を受けながら当院に通われている。中高年の疾患は完全によくならなくても今より悪化させないことが最良の治療の場合も多い。鍼灸は体への負担が少なく自宅で自己治療できることも少なくないのでお悩みのことがあればご相談いただきたい。

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