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Posted by たまりば運営事務局 at

2011年08月27日

3年続く慢性腰痛と頚の痛み

42歳主婦。3年前に2歳の子供を抱っこして電車に乗った。外出から帰宅して右の腰が痛くなった。それが原因か分からないがその時かかとの高い靴を履いていた。それからよくなったり悪化したりを繰り返している。痛いところは最初右腸骨稜の上付近だけだったが今は臀部の下承扶付近にもだるく鈍痛がある。坐骨神経痛ではないかと心配されている。

頚の症状もあるが、先ず腰からチェックした。痛みが出る動作は前屈と椅子に座った状態から立った時。20年前の虫垂炎手術痕があるのでこれから調べたが異常なし。右至陰の井穴刺絡で前屈痛が軽くなったので膀胱経を中心に指先から足首まで圧痛点を調べた。2ヶ所に円皮鍼を貼り百会の刺絡をしたら前屈痛はほぼ消失したが、座位から立った時の痛みは残っている。

ベットに座った体勢で右腸骨稜に1番鍼(鍼の直径0.16mm)を4cmほど刺入して2分置鍼。さらに立位で右臀部の圧痛点に1番鍼を5cm刺入した。その後座位から立つ時の痛みは半分くらいに減った。腰の治療はここまでにして頚を調べる。首の前屈で右首の付け根に鈍痛、後屈で右肩甲間部に痛みが出る。軽い頚椎症も考えられる。

右F4と百会の刺絡は済ませているので右手の甲から前腕の圧痛点と右肩甲骨周り、さらに首の僧帽筋、胸鎖乳突筋を調べ首の前後屈時の症状が変わるところを探し鍼と円皮鍼をする。こちらも最初の半分くらいに痛みが減ったので初回の治療は終了とした。

今日の履き物をみるとかかとが高いサンダル。足、腰、膝の疾患にはどんなものを履いているかはとても重要でサンダル、スリッパ、かかとを潰した靴、紐を締めてない靴などは下肢に異常な緊張がかかりそれが頑固な痛みの原因になっていることも多々ある。この患者さんにもサンダルは止めていただくようにお話した。

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  • Posted by へんせき at 23:08Comments(0)運動器疾患

    2011年08月18日

    帝王切開手術後に発症した慢性硬膜下血腫

    2ヶ月前帝王切開で女児を出産した30歳代女性から前日から右腕がいつもと違うのでどうしたらいいかと相談の電話があった。痺れるような痛いような感じで字を書こうとして思うように書けないとのこと。子供が5㎏になりその世話で腕が疲れているのではないかと思うとのこと。

    話を聞いていて何となく脳の障害も気になるのでそれを指摘すると、本人もそれを心配して私に電話する前に脳外科に尋ねてみたら足や言葉に問題ないので様子を見なさいとの指示だったそうだ。それなら1回鍼治療して様子を見てもいいと思い夕方来院してもらうことにした。

    最初の電話から3時間くらいしてまた彼女から連絡があり、急に痙攣が起きたので病院に行きCTを撮ったところ慢性硬膜下血腫と言われこれから治療の説明があるとのことであった。夜、ご主人から無事手術が終わったと連絡をいただいた。原因は帝王切開時の麻酔注射とのこと。

    普通慢性硬膜下血腫の原因は軽い頭部打撲でその時は異常がなくても少しずつ出血が続き1~2ヵ月後に頭痛、ふらつき、痺れ、物忘れなどの脳症状を現すといわれている。だが稀ではあるが帝王切開時の脊髄麻酔が原因となることもある。

    帝王切開のとき使う麻酔は脊髄麻酔か硬膜外麻酔かになる。この麻酔はどちらも腰椎の間から針を指すが硬膜を貫くか否かの大きな違いがある。後で確認したところ彼女は最初硬膜外麻酔をしたが効きが悪く、脊髄麻酔に切り替えてそうだ。脊髄麻酔は効きがいいが髄液まで針を指すのでいくらか髄液が漏れ、髄液が減り脳が引っ張られるので術後しばらく頭痛に悩まされることがある。彼女は5日間頭痛が続いた。

    慢性硬膜下血腫は原因を忘れた頃急に症状が現れるので、頭部打撲同様脊髄麻酔が原因となることも覚えておかなければならない。術後1週間経つが順調に回復されているので一安心である。

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  • Posted by へんせき at 10:54Comments(0)脳・精神・神経

    2011年08月14日

    脊髄梗塞(前脊髄動脈症候群)による下肢の痺れ

    脊髄梗塞は聞きなれない病名だが脳梗塞と同じような状態が脊髄に起こったものだ。脊髄に栄養を運んでいる前脊髄動脈や後脊髄動脈が何らかの原因で詰まり、主に下肢に麻痺、感覚異常、痺れなどの症状が急性に発生する。

    脳梗塞に比べると百分の一以下の症例数でとても少ない。死に到ることは稀だが後遺症の克服に苦労することは脳梗塞と同じだ。

    60歳女性 主婦が前脊髄動脈症候群の後遺症の治療に来院された。発症したのは6月下旬、午前9時ごろ右足先が痺れ始めた。そのうちその痺れがだんだん上の方に広がって来た。夕方右足の痺れは太ももまで進行してその頃左足先も痺れてきた。そして力が入らなくなり動けなくなったので救急車を呼んだ。

    その時には痺れはお臍の高さまで来ていた。脳の障害を考えたが言葉は出るし、手も正常なので何が起こっているのか不安なまま病院に運ばれ脳外科医の診察を受けた。諸検査の結果胸椎11番付近の前脊髄動脈の閉塞によるものと診断され点滴治療とリハビリが始められた。

    初期治療が早かったせいか約3週間の入院で自力で歩けるようになり退院された。退院して2週間経つが、両脚の痺れ(特に両太ももがギューと締め付けられるような痛いような痺れ、と触るとビリビリする痺れ)が取れないので鍼灸を試してみたいとのことであった。

    脳血管障害の後遺症の治療はときどき経験しているが、脊髄梗塞は初めてであり脳梗塞後遺症の治療に準じて施術した。主な治療部位は井穴と頭部のツボ。初回の治療ではその場ではっきりした主訴の変化は認められなかったが、帰宅した1時間後に両大腿前面の症状が8割くらい取れ楽になった。また元に戻るのか心配したが3日後の2回目の治療までいい状態が続いていた。ただ最初はあまり感じなかった大腿後側に痺れを感じるようになった。

    これはおそらく大腿前面の症状が軽くなったので感じるようになったものだと思われる。完全に自覚症状がよくなるか分からないが1回の治療でも変化が出たので、自宅でのお灸とリハビリを続けながらしばらく継続治療してみることにした。

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  • Posted by へんせき at 22:30Comments(0)脳・精神・神経

    2011年08月07日

    むずむず脚症候群の鍼灸治療

    原因ははっきり分かっていないが、主にふくらはぎや太腿に耐え難い不快感を覚えじっとしていられなくなる病気に『むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)』がある。夕方から夜にかけて症状がひどくなり睡眠障害を起すことも少なくない。

    一般的には神経内科や精神神経科での治療となるが、症状の出方によっては皮膚科や整形外科を受診される方もいる。鍼灸治療は適応症で思った以上によく効くので病院の治療で効果がいまいちの場合試してみていただきたい。

    66歳男性。週に1~2回10kmジョギングをしているが、今年の1月ジョギングの後左のふくらはぎがピクピクしだした。2月になると朝方こむら返りが起こるようになる。3月になると夜中から朝方にかけて特に左のふくらはぎ、太ももがピクピク動きむずむず状態になる。4月に入ると夜だけでなくほぼ一日中むずむず感に悩まされるようになった。

    治療はホームドクターの内科医から漢方薬を処方されていたが、5月に大学病院の神経内科でビ・シフロールを処方されている。薬の効果がでないので先日別の睡眠障害専門病院でPSG検査や血液検査を受けて結果待ちの状態とのこと。

    初回の治療は7月30日。自律神経の調整のため手足の少陽経の井穴刺絡を2回した。毎日3合以上酒を飲んでいるそうなので禁酒していただく。理由はこの疾患はアルコールやカフェインが関与することもあるし、処方されている薬に影響する恐れがあるため。

    2日後二回目の治療。前回治療の後4時間ほど症状が治まっていたがその後また元に戻った。いい徴候があったので治療は前回と同じにして自宅でせんねん灸をしてもらうことにした。今日PSG検査等の結果を聞きに行ってきた。下肢神経に異常なし。軽度の周期性不随運動が見られフェリチン濃度がやや低いくらいでビ・シフロールが効いてないのでランドセンを試してみることになった。

    三回目の治療は2日後。むずむず感はほぼなくなったが、太ももにピクピク感はまだ残っている。治療は前回治療に頭部の運動野に鍼を2ヶ所追加する。禁酒と自宅施灸は続いている。ランドセンが合わず副作用が出るので明日受診するとのこと。

    3日後四回目の治療、初診日からちょうど1週間目。むずむず感とピクピク感ともにほとんどなくなる。病院ではランドセンに変えてドミンを処方され2回飲んだ。症状は落ち着いているので治療は前回と同じで、禁酒と自宅施灸はもう少し続けていただくことにした。何ヶ月も続いた症状が消えたので本人はとても喜んでいる。今後は薬を止めるとどうなるのか、飲酒はどう影響しているのか、自宅施灸の効果はどの程度なのか確かめて行きたい。

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  • Posted by へんせき at 00:30Comments(0)脳・精神・神経

    2011年08月02日

    頚椎症性神経根症の鍼灸治療

    10年ほど前に腰痛の治療をした元患者さんから今度は肩の痛みと指先の痺れの電話相談があった。3週間ほど前から症状が出始めこの1週間症状がひどくなったそうだ。整体治療を数回受けたが改善しないので鍼灸は適応するかとのお尋ねである。

    症状を聞いていると単なる肩こりでなく頚椎症性神経根症を強く疑わせる。もしそれなら鍼灸治療適応だが念のため整形外科で診察を受けてくるようにお話した。すぐに整形外科に行きレントゲン検査をして左の頚椎7番の神経根症と診断され鎮痛剤とビタミン剤を出された。その足で当院を受診された。

    頚椎症性神経根症は脊髄から出てきた神経根の刺激症状で手の痺れや痛み、頚から肩、腕、指先への痛みや痺れといった上肢の症状が主で症状はとてもうっとうしいが予後はいい。似たような病名に頚椎症性脊髄症があるがこちらは脊髄そのものが圧迫されるので上肢だけでなく下肢の症状が出てひどいときには膀胱直腸障害も出るので手術も考えなければいけないこともある。

    首の後屈と左側屈で左肩上部と左肩甲間部の痛みがひどくなる。手指の痺れは薬指と小指、前腕の内側はだるさを首を動かさなくても感じている。頚椎に変形があるとそれがすべての症状の原因と考えがちだが、必ずしもそうでない。治療は前腕と指の症状が出ている心経、小腸経、三焦経を調べ手の甲及び前腕内側にしびれ感が減少する反応点3ヶ所に鍼を刺す。次に山元式頭皮針を参考に頚部の症状と関連するツボ2ヶ所に15分置針。最後に左胆経、膀胱経の井穴刺絡をして治療終了。

    指の痺れが70%、肩上部と肩甲間部の痛みが60%くらい改善した。今までの経験では治療期間1ヶ月で数回の治療でほとんどよくなる。ただそのままにしておくと1~2年で再発することがあるので症状が取れた後に頚や肩の筋トレやストレッチでメンテナンスをすることが大切と考える。

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  • Posted by へんせき at 08:41Comments(1)運動器疾患