たまりば

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2011年12月28日

五十肩と乳がん治療

今年最後の患者さんは新患で左五十肩の主婦だった。五十肩は肩関節周囲炎ともいい40歳代から増える肩関節の障害で急性期、慢性期、回復期を経て1年から1年半で生活に支障がない程度に自然に回復する。

しかしその期間は最初は痛みその後は関節可動域の制限のため日常生活に非常な制約を受ける。今日の患者さんは約6ヶ月前に発症し痛みは減ってきたが腕を挙げることが不自由で、慢性期から回復期に入った病期と思われた。

肩関節の可動域は前方挙上(屈曲)は水平まで、側方挙上(外転)は水平まで挙がらない。12月から整形外科に回されリハビリをやってるそうなので時間さえかければ問題ないが、回復を急ぐ特殊な事情があった。それは11月に左の乳がんの手術を受け、次の治療として放射線治療を控えている。これは腕を挙げた姿勢で放射線照射しなければならず、効果的な照射期限が迫っている。放射線科で早く肩を治すように急がされている。

治療は刺絡、頭針、灸で腕の可動域が広がるかを指標に行なう。明日から年末年始の休診となるので、回復期の五十肩体操を5種類指導して、7ヶ所のツボに毎日せんねん灸を続けてもらうことにした。新年7日の病院での診察で腕が挙がっていれば放射線治療が始まるそうだ。

五十肩の発症原因はっきり分かっていないが、片方を発症して1年前後でよくなった後しばらくしてもう一方も発症するケースをよく見る。この方も右肩を2年前に発症していた。また乳がん検診は3年続けて受診されていたので7×8ミリで早期の発見、センチネルリンパ節生検も陰性で後は放射線治療と5年間のホルモン剤治療で完治されるだろう。

この一年ブログのご愛読ありがとうございました。何らかのご参考になれば幸いです。なお新年は6日から診療始めます。

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  • Posted by へんせき at 23:59Comments(0)運動器疾患

    2011年12月19日

    鍼灸による喘息治療

    当院に通院中の美容師さんの紹介で40歳代主婦が喘息治療の相談に来院された。2005年秋ごろから不定期に咳、痰が出始めたが喘息とは診断されなかった。2007年4月に咳が止まらなくなり呼吸器専門医を受診して喘息と診断され、現在は吸入ステロイド剤による予防治療と発作が起きた時には気管支拡張剤を使っている。

    朝晩吸入ステロイド剤を使っているが天気が悪くなる時や梅雨時は咳、痰、息苦しさが増す。薬を増やさずにもう少し楽に呼吸できるようになりたいとのこと。喘息は気道に慢性的な炎症があり、その結果として気道の過敏性が増しそこに増悪因子が加わると気道が狭くなり喘息発作が起こる。

    喘息は副交感神経が亢進しているので治療は座位がいい。中国古典医学呼では呼は肺、吸は腎が司ると言われている。肺(金)と心(火)は相克関係にある。以上のことを基本に呼吸のしやすさを目安に心経、肺経、腎経の順に治療をする。一経治療する毎に息が深くなると言う。最後に副交感神経抑制の刺絡をする。

    翌日から自宅での自己治療(円皮針・刺絡)を4日間続けて2回目の治療をしたが、とても調子がよく吸入ステロイド剤を減らしてみたいと仰る。長期的には減薬できると思うが、それは医者の指示に従ってやらないとリバウンドの危険もあるのでしばらく鍼治療を続け様子を見て医者に相談するようにとお答えした。

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  • Posted by へんせき at 22:56Comments(0)呼吸・循環器

    2011年12月17日

    不妊症に鍼灸治療は有効

    不妊治療に鍼灸を採用している人は全体から見ると少数派で社会的な認知度も低いかもしれないが、鍼灸治療は妊娠しやすい体を作る治療として体に対する負担が少なく安全な治療法の一つである。不妊の原因は様々で一人ひとり違う。また原因不明不妊も多いので自分にはどのような治療が適しているのかよく検討して選択すべきだ。

    34歳会社員。結婚して2年経っても妊娠しないのでタイミング法を経て今年2月から人工授精(AIH)を開始した。9月までに5回試みたが妊娠に到らなかった。諸検査で子宮、卵管、卵巣に器質的障害はなく抗精子抗体は陰性、基礎体温は二相性を示している。フーナーテストは3回受けて全て悪い。子宮内膜の厚さは7mm~10mmで、男性側には異常なし。

    担当医から体外受精を提案されたが、少し体を休め精神的なストレスもあるのでしばらく鍼灸治療で心身をリフレッシュして来年から体外受精に臨もうとのことで10月下旬に来院された。週1回の治療を5回続けたところ今週初め妊娠していることが分かった。

    治療は足の陰経を中心に体を温め、会社や自宅でも保温に努めていただいた。患者さん曰く「今まで少し焦っていたのかもしれない。しばらく休んで体作りをしようと決めたことでストレスが減り、治療と相まって妊娠しやすくなったのでは」と。おそらくそうだろう。命の誕生のような神秘の領域では理屈だけでは計り知れない力が働いているのだろう。

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  • Posted by へんせき at 00:48Comments(0)小児・婦人科

    2011年12月13日

    パーキンソン病に頭針と耳鍼

    本当のパーキンソン病とパーキンソン病と症状が似ている他の病気さらにパーキンソン症候群を見極めることは難しい。診断は問診と神経学的診察でパーキンソン病が疑われる時にMRI検査やMIBG心筋シンチなどの画像検査が行なわれる。

    パーキンソン病は脳の中の神経伝達物質「ドーパミン」が減少する病気で運動機能障害が起こる。ドーパミンは脳内のドパミン神経細胞で作られるがドパミン神経の減少の程度は一般的に画像で確認できない。それも診断を難しくしている。主な症状は①安静時の手足の震え ②動作の緩慢(すくみ足、前傾姿勢、表情の乏しさなど ③筋固縮 ④姿勢反射障害(バランスを崩した時姿勢を戻せない)である。

    一般的な治療は薬物療法で主な薬は「L-ドパ」と「ドパミンアゴニスト」の2つでこれを上手に使うことで症状を抑え進行を遅らせることができる。先週来院された60歳代の女性は6年前にパーキンソン病と診断され現在は上記の2種類の薬を服用して症状をコントロールしているが、薬が切れてくると動きにくく(特に最初の一歩が出難い、ターンがスムーズに出来ない)右半身が硬くなるそうだ。薬が効いている間も細かい動作は苦手で、もう少しスムースな動きが出来ればと仰る。

    パーキンソン病の患者さんは沢山の愁訴をお持ちだが、病院ではそれはパーキンソン病だからですと言われている。鍼灸治療で患者さんの訴えを一つひとつ治療していくと症状が軽くなるものもある。それはパーキンソン病由来の症状が軽くなるのか、付随の症状が取れていくのか分からないがそうなると減薬も可能となる。

    11日の「臨床報告研究会」で大阪から参加されたT先生からパーキンソン病の治療に関して「頭部の鍼」と「耳鍼」のアドバイスを受けた。T先生はパーキンソン病やリウマチに豊富な症例をお持ちで頭針は専門的な訓練を受けておられる。私も脳に原因がある疾患に「頭の鍼」が有効なことは経験的に感じていたのでこのアドバイスはとてもありがたかった。患者さんに頭針と耳針を説明してさっそく追試してみた。

    1回目なので先ずは頭部に3本鍼をして20分置鍼した。10分過ぎから右半身の硬さが緩んできたとのこと。次に副交感神経抑制の刺絡。耳に円皮針を左右1個貼って治療終了。夜電話で様子を伺うと薬が切れた時の感じは変わらないが、薬が効いている時は硬さが少なくなっているとのこと。今後の検討課題は多いがどのような治療の組み合わせや選穴が有効か確かめて行きたい。

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  • Posted by へんせき at 23:32Comments(0)脳・精神・神経

    2011年12月10日

    腱鞘炎(ばね指とドゥケルバン病)の鍼灸治療

    手の腱鞘炎と呼ばれる代表的なものには「ばね指」と「ドゥケルバン病」がある。ドゥケルバン病は聞きなれない病名だが狭窄性腱鞘炎と言い親指側の手首横に起こる腱鞘炎でばね指以上に女性に多い。

    原因は「指の使いすぎ」が多いが、中高年の女性では女性ホルモンの低下も考えなければいけない。親指の根元手首のところを2本の腱(長母指外転筋腱、短母指伸筋腱)が一つの腱鞘を通るが、そこの動きが悪くなり炎症が起こり痛みや腫れが出てくるのがドゥケルバン病だ。

    このドゥケルバン病が疑われる60歳代の女性の治療をした。左手首の橈骨茎状突起付近が腫れていて手首を動かすと痛いという。この病気の徒手検査にはフィンケルシュタインテストがある。グゥーを握り手首を小指側に曲げると親指側の手首の痛みが増せば陽性。さっそくこのテストをやってみると陽性で、母指側に曲げても少し痛い。

    痛みは左肺経、大腸経であるが左右の三焦経の井穴刺絡からはじめ徒手検査をやりながら痛みの変化を診ていった。最後に左大腸経の圧痛点2ヶ所に円皮針を貼り痛みは半分くらいに減ったがまだ満足いくまでにはない。痛みの減少がどのくらい続くのか様子を見てもらい、今日の治療で変化があったツボに自宅でお灸をしていただき3日後にもう一度治療することにした。

    病院での治療は装具療法、ステロイド剤ケナコルトの注射、手術療法などがあるが後者二つは経験の多い病院や医師を訪ねたほうがいい。手の構造は複雑で個人差もあるので負担がかかる治療を受ける時は慎重に選ぶ必要がある。幸い調布には手の外科を専門とする整形外科があるので紹介もできる。

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  • Posted by へんせき at 23:43Comments(0)運動器疾患

    2011年12月05日

    不整脈(期外収縮と動悸)の鍼灸治療

    不整脈は①脈が乱れる ②速くなる ③遅くなるの3つのタイプに分けられる。命に関わる危険なものから心配のないものまであるので、自分がどのような不整脈であるかを知ることは大切だ。

    期外収縮とは心臓が一定のリズムから外れ早いタイミングで収縮するタイプで、基本的には治療の必要がない不整脈だ。期外収縮は起きていてもまったく気付かず自覚症状がない人が多い。しかし一瞬心臓がドクッとなり脈が跳ぶように感じる人がいる。

    自覚症状を感じる人は場所が心臓だけに脈が跳ぶ回数が多かったり、長時間続いたりすると心配ない不整脈とはいえ不安が募りさらに期外収縮を引き起こすことがある。原因はストレス、疲労、睡眠不足などが自律神経の働きを乱すためと考えられている。

    65歳男性が明け方期外収縮が3~4時間続くとのことで来院された。最初に心臓の異常を感じたのは3月で1分間に100拍ほどの頻脈になり動悸を感じ、医者に行き漢方薬を処方された。その後落ち着いていたが10月中旬飲酒をきっかけに期外収縮が出現した。その時は一晩で治まったが、11月中旬に4日間続けて明け方3~4時間起こり眠れなかった。ホルター心電計の検査で「心室性期外収縮」と診断された。

    その後も時々明け方や夜7~8時くらいに不整脈を感じることがあり、発生する時間を考えると自律神経が関与しているのではないかと思い鍼灸治療で自律神経の調整をしたいと来院された。治療は交感神経の抑制を基本に心経、肺経、腎経の刺絡、頭部刺絡、背部兪穴の浅い鍼を行なう。三日おきに3回の治療と自宅でのお灸をした結果出現頻度は減り睡眠もよく摂れる様になった。何よりも不安感が減ってきたと感じているそうだ。

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  • Posted by へんせき at 23:36Comments(0)呼吸・循環器