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2010年10月30日

風邪やインフルエンザの季節を迎えて

この2~3日の急な気温の低下は秋を通り越していきなり冬の到来を感じさせるようだ。体が暑さから寒さに順応するのには個人差はあるが10日から2週間かかるといわれている。体調を崩された方も多いと思う。

昨年の今頃は新型インフルエンザの流行でマスクや消毒薬が品切れになったり、ワクチン供給が間に合わないなど思い出す。すでにインフルエンザの予防接種も始まっているがこれからの季節、風邪、インフルエンザ、肺炎には充分気をつけたい。

自分でできる予防法はすべて同じだ。①人ごみを避けるー電車やバスの中ではマスクを使用する。②手洗い、うがいの励行ー外出先では鼻や口などを不用意に触らない。手洗いは石鹸を使いていねいに洗う。③保温、保湿に注意するー体が冷えると血行が悪くなり抵抗力が落ちる。また風邪やインフルエンザウイルスは低温乾燥を好む。部屋の換気も大切。④睡眠と栄養を充分取り疲れをためないー体を温める食材を利用。睡眠時、口呼吸をしている人はマスクをして寝るといい。

インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンは高齢者や基礎疾患がある場合は重症化を防ぐ意味で接種した方がいいと思う。高齢者は風邪と思っていても肺炎を起こしていることも多いので風邪症状の後「息苦しい」「胸が痛い」「呼吸が速い」などの症状があれば医療機関を受診すること。

風邪予防には何より抵抗力を落とさない生活が大切だ。普段から一月1週間程度「足の三里」や背中の「志室」首の「大椎」にお灸を続けるといい。風邪やインフルエンザに罹ったら安静にして体力回復に努めることだが「咽喉の痛み」や「発熱」には対処療法として刺絡が有効だ。

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  • Posted by へんせき at 23:34Comments(0)呼吸・循環器

    2010年10月28日

    糖尿病と高血圧に鍼灸治療併用

    鍼灸治療を始めて約7ヶ月の60歳代女性の患者さんがいる。1年前急に左目の視界が内側半分欠けてしまった。開業眼科医で目の異常はなく、調布市内の脳神経外科に回され入院検査するも原因が分からず、杏林大学病院神経内科に転院された。

    やはり原因は特定できなかったが脳波に癲癇様の波形が認められ抗てんかん剤の服用で視野は正常に戻り退院された。そのときの検査で高血圧と糖尿病が指摘され入院中から薬による治療が始められた。

    針灸院にお見えになった時の血圧は収縮期160拡張期95程度。血糖値は145、HbA1cは7.1であった。ご本人も薬だけでは充分でないことを承知で日常生活の見直しと共に鍼灸を併用してみたいとのことであった。

    この7ヶ月間毎日朝夕30分ずつのウォーキングと週1回の鍼灸治療を続けられた。今月の検査で血糖値117、HbA1c6.0に改善していた。血圧も治療のたびに測定しているが最近2ヶ月は収縮期130拡張期85程度に安定している。

    生活習慣病は地道な日々の努力の上に治療がある。安易に薬を増やして検査値の数値を合わせてもそれは決していい治療にはならない。食事も運動もそれが生活リズムになると実行はそれほど難しくないようだ。

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  • Posted by へんせき at 23:25Comments(0)生活習慣病

    2010年10月26日

    社交不安障害(SAD)の治療

    20歳代の男性会社員。社交不安障害で2年ほど薬物療法を続けている。パキシル(20mg)の服用で症状は割合安定していたが、1ヶ月前から会社に出るのが辛くなった。医者は別のSSRIを追加処方したが、うつ症状に鍼灸が効果があると聞いて自分の症状にも適するかとの相談である。

    社交不安障害は様々な不安障害(パニック障害、強迫性障害、PTSD、全般性不安障害など)のひとつで人と接触する場面で程度の差こそあれ、強い不安を感じる。また不安感だけでなくめまい、赤面、動悸、震え、発汗などの身体症状を伴うこともある。

    一般的な治療はSSRIをメインに抗不安薬、β遮断薬などの薬物療法と精神療法だ。この方は精神療法を試していないので専門の医療機関で相談されることを勧めた。精神療法では「認知行動療法」が注目されている。慈恵医大第三病院の「森田療法」も有効だと思う。

    鍼灸で出来ることは身体症状がほとんど交感神経の緊張から来るものなので、自律神経の調整になる。手と足のツボを一対として異種金属の鍼でつなぐ奇経治療と頭のツボ3穴に20分置鍼した。社交不安障害はひきこもりとも関連が深いので適切な医療と周囲の協力で早期の治療が望まれる。

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  • Posted by へんせき at 23:06Comments(0)脳・精神・神経

    2010年10月25日

    首の痛みを円皮針で解消

    57歳の男性。1年くらい前から右の首の付け根が痛い。整形外科でのレントゲン検査で異常なく、湿布をしばらく貼っていたがよくならない。そこで整骨院で低周波とマッサージを1ヶ月受けたが症状に変化がない。

    知人から鍼灸を勧められたが、いままでやったことがなくいまいち踏み切れずにいた。しかし痛みがひどくなってきたので思い切って受診することにしたそうだ。鍼のどんなところに抵抗があるのかお聞きすると「異物を体内に刺す事。鍼といえば縫い針のようなものをイメージして痛いのではないかという不安」などである。

    それで今日はふつうの刺す鍼は使わず円皮針を貼るだけにしてどれくらい痛みがとれるかやってみることにした。首の状態はじっとしていれば痛くないが、右後を振り向く動作と右耳を肩にくっつけようと傾ける動作で痛みがでる。首はスムーズに回転できない。痛くなったきっかけは何かあるのかお聞きすると「パソコン操作が多く、画面を斜めに向いて操作していたことではないか?」とのこと。

    右の大腸経合谷の圧痛点に円皮針を貼ると右後を振り返る動作での痛みがなくなり、患者さんは不思議そうな表情をされた。右に傾ける痛みは変わらない。そこで右の三焦経と右の胆経の圧痛点に円皮針を貼ってみたが、あまり変わらない。パソコン操作で眼精疲労があると思ったので、目の治療で首の痛みが改善するかやってみた。

    眼精疲労に関係する後頭部の治療は円皮針ではできないので2ヶ所1~2ミリ鍼を刺したが、無痛であった。再度首を傾けて痛みを確認してもらうと痛くないとのこと。首を回転させてみると最初よりずっとスムーズに回る。治療時間が少し残っていたので腹診をすると右の季肋部を押さえて鈍痛がある。本人にも左右の季肋部を押さえて確認させる。

    肝臓や胆のうの反応部位なので右足の肝経と胃経に1ヶ所ずつ円皮針を貼って右季肋部の圧痛を調べると鈍痛はない。本人曰く「健康診断で脂肪肝を指摘されている」とのこと。ここで治療終了して、首の痛みがこのまま消失するのか何日か後に痛くなるのか経過観察してもらうことにした。

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  • Posted by へんせき at 01:02Comments(0)運動器疾患

    2010年10月23日

    治る肩こりと治りにくい肩こり

    肩こりはあまりにありふれた症状で、まれに心臓や胆のうなど内臓の病気が関係している場合もあるが一般的には生命に別状なく、医療機関を受診しても重要視されない。しかし健康人であっても肩こりに悩まされている人は多く、こんなものだと諦め我慢しているか民間療法で一時しのぎすることになる。

    肩こりで鍼灸治療を求めて来院される患者さんを診ていると大別して二つのタイプに分けられる。一つは患部を圧してみると痛みを感じるタイプ。もう一つは圧して気持ちがいいと感じるタイプだ。鍼灸の用語では前者を「実痛」後者を「虚痛」という。

    「実痛タイプの肩こり」はよく治る。鍼灸の治療法はいくつもあるが一番簡単な方法は円皮針をこの一点という圧痛点に貼ることだ。普段しなれない肉体労働や過度の運動などが原因の肩こりはこの方法で素人でも対処できると思う。

    一方、とこに行っても治らない、何年も治らないという肩こりは「虚痛タイプ」のものだ。原因ははっきりせず、一説では上腕神経叢の圧迫による反射痛ともいわれている。このタイプは明確な圧痛はなく患部にいくら患部に針をしても肩こりはとれない。

    このタイプは治療に完治に苦労するが、一時的に軽快させることは可能で運動療法と併用すると効果的だ。局所的には鍼より灸がよく、肩の運動をしながらの遠隔治療でその場で楽になることがある。ただそのままではしばらくしてまた同じような肩こりを感じてくる。

    もし眼精疲労があれば目の鍼灸治療を、眼鏡が合ってなければ度数の調整を、運動不足や筋力低下なら筋トレをしなければ完治は望めない。この虚痛タイプの肩こりで苦しい時には一時的だがペインクリニックで局所麻酔薬に消炎鎮痛剤を配合した注射も簡単で効果がある。  

  • Posted by へんせき at 00:24Comments(0)運動器疾患

    2010年10月20日

    旅行中に発症した坐骨神経痛

    調布在住の娘さんの所に新潟から出て来られた54歳の女性。昨日電車の中で左の臀部に少し痛みを感じていた。今日起きたら昨日より痛みがひどくなっていた。痛いところは左臀部、さらに左の大腿後側にしびれを感じる。

    15年前腰部のヘルニアで1ヶ月入院の経験があるが、そのときの症状に似ているのでひどくなったら大変だと思い、不慣れな土地で治療院探しに困ったそうだが、娘さんの友人が当院に通院されていることを聞いて来院された。

    現在の状態は歩くと左臀部が痛い。痛いところはここだとはっきりしている。左足に軽い痺れがある。ベットに寝て左足を持ち上げるラセーグ徴候は陽性、立って腰を前屈すると大腿の後側がしびれる。

    痛いところがはっきりしているので、先ず左臀部の圧痛点に円皮針(長さ0.6ミリ)を貼る。もう一度歩いて痛みを確認すると最初の痛みはなくなり、その3センチ上方に痛みがでる。そこにもう一度円皮針を貼ると歩いての痛みはなくなった。しかし前屈しての大腿後側の痺れは残っている。

    次に左足の甲を調べると胆経上に3点圧痛を認める。その中の最大圧痛点を選び円皮針を貼り、再び前屈してみると痺れはなくなっていた。ベットに寝て再度ラセーグ徴候を調べると50度以上挙がり陰性。結局円皮針だけで痛みと痺れはよくなり、患者さんはこのような治療は始めて受けたと喜ばれた。

    治療時間が少し残っていたので他に気になるところはないかとお聞きすると、パソコン業務が多く眼が疲れ肩が凝るとのこと。頭のツボ3ヶ所で眼精疲労の治療をすると視界が明るくなり、同時に肩の凝りも8割ほど取れた。私の臨床経験では痛みや痺れは患部に直接治療するより遠隔部の治療でよくなる方が多い。ただ選穴にコツがあり鍼の場合は1~2ミリずれると効果がない。

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  • Posted by へんせき at 23:59Comments(0)運動器疾患

    2010年10月18日

    十年来の下肢の痛み

    今朝、三鷹在住の女性から診療予約の電話があった。来院されてお年を伺うと85歳、足が痛いとのことなので通院するのが大変ではないかとお尋ねした。少し遠いが最近足の痛みがひどくなったので九州に赴任している息子に相談したら「調布のたんぽぽ針灸院」に行くように勧められたそうだ。

    約10年前整形外科で腰椎すべり症と圧迫骨折と診断され、薬と物理療法の治療を受けたが、薬で胃が悪くなり治療中止、胃がよくなるまで1年かかったそうだ。結局足腰の痛みは完治せずよくなったり、悪くなったりの繰り返しで、それ以来積極的な治療は受けていない。

    左側は臀部からふくらはぎにかけ後側にジーンとした痛み、右側は外踝の上に痺れがある。腰を左右にひねる動作で痛みが増し、腰の後屈は出来ない。日常生活では朝より午後が悪い、長く立っていたり歩くと悪い、横になると楽になる、雨が降る前や梅雨時は悪い。36歳で虫垂炎、50歳で子宮筋腫の手術をされている。

    鍼灸治療の経験はなく、どんなことをされるのか不安だと仰る。それでは今日は普通の刺入する鍼は使わず、貼る針(針の長さ0.6ミリの円皮針)だけで治療することにした。これは全く痛くない。痛みが強くなる動作から判断して左側は肝経、胃経、膀胱経、右側は肝経、胃経、胆経と予想して指から足首まで丁寧に触診して反応点を調べた。

    左3ヶ所、右2ヶ所のポイントに1ヶ所ごとに円皮針を貼りながら痛みの変化を追っていった。この患者さんの場合本当に上手く行き5ヶ所の円皮針でほとんど痛みが無くなり、最初できなかった後屈も出来るようになった。痛いところには触らず痛みが取れたので患者さんは魔法のようだと仰ったが、多分信号系の乱れが軽い刺激で調整されたのだと思う。

    この症例のように長期間の痛みでも痛みの種類によってはこのような負担のない治療で解消する場合もあるので自分に合う治療法を探し諦めずに試してみる価値はあるのではないか。

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  • Posted by へんせき at 23:59Comments(0)運動器疾患

    2010年10月16日

    風邪がきっかけの上半身の激痛

    48歳の男性会社員。9月27日夜風邪を引いたらしく発熱(38℃)。翌朝いったん解熱したが夕方から再び発熱。30日まで熱は37.2℃から38.5℃と下がらないので開業医を受診した。風邪の診断でPL顆粒とロキソニンを処方された。薬を飲んでも熱が下がらず10月2日夜背中に寝違えしたような痛みを感じ、翌日はじっとしていてジンジンする痛みに変わった。

    よくなる気配がないので4日に稲城市立病院を受診して血液と尿検査の結果、クレアチニンとCRPの軽度上昇が見られたが様子を見てくださいで終わった。4日から6日まで会社を休んだら熱は下がったが痛みは続いた。7日から出勤したが痛みはひどくなり10日に救急で都立多摩総合医療センターを受診。担当した医師は心臓や肺の疾患を疑ったが異常は認められずボルタレン座薬が処方された。

    ボルタレン座薬は8時間くらい効きその間はかなり楽になるが薬が切れると激痛を左肩甲骨周辺と左腕の付け根、時に左肘に感じる。11日から整骨院に4日連続して通ったが全く効果がないので15日奥さんの勧めで来院された。来院時は朝入れた座薬が切れた時間帯で腕を押さえ、辛そうな表情で入室して来られた。

    医師は生命にかかわらない痛みと判断されての処置だが、痛みがいつまでも続くと慢性痛に移行して治り難くなる。痛みを取る手段は鎮痛剤、神経ブロック、医療用モルヒネ、抗精神薬などあるが慢性痛になる前に手を打ちたい。鍼灸治療がよく効く痛みの種類もあるので選択肢の一つに覚えていて欲しい。

    痛みがひどい時は一般的に交感神経が異常興奮している。先ずこの興奮を抑える必要がある。局所的には痛みを発している部位には軽い刺激が基本で、反対側に治療して奏効する場合も多い。この患者さんの治療は円皮針、刺絡、巨刺で行った。治療直後の効果は肩甲骨部の痛みは8割取れた。腕の付け根は5割ほどの改善。それで様子を見てもらうことにした。

    16日夜経過報告の電話をいただいた。「肩甲骨部の痛みは楽になっている。薬が切れると腕の付け根から肘にかけて痛みが出そうになるのでそのタイミングで薬を使っている。」薬の使い方はそれでいいので、昨日教えた自宅治療を3日続けるようにお話して又連絡してもらうことにした。


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  • Posted by へんせき at 23:58Comments(0)不定愁訴・体調管理

    2010年10月14日

    糖尿病・夢の治療薬はない

    糖尿病の人は約900万人、予備軍の人を含めると約2200万人にものぼり「国民病」といわれている。糖尿病治療薬は昨年「DPP-4阻害薬」が登場し夢の新薬と話題になった。従来の代表的な経口血糖降下薬の「SU剤」と比べ、インスリン分泌促進効果が高いがマイルドで低血糖を起こしにくい。さらに膵臓の再生作用もあり画期的な薬と紹介された。

    今日78歳の女性が坐骨神経痛にお灸治療を希望されて来院された。2週間ほど前から台所でしばらく立っていたり、2~3分歩いていると腰の下部仙骨付近が痛くなるそうだ。以前腰が痛くなったときお灸をしてよくなったので、またやってみたいとのこと。軽い脊柱管狭窄症ではないかと感じた。

    お話を伺うと自分は糖尿病で10年前からインスリン注射をしている。食事療法と運動も続けているが今の状態では歩くことが出来ない。この方は58歳の時糖尿病を指摘されたが、自覚症状があまりなかったので生活習慣を見直すことをしなかった。数年後体がだるく、咽の渇きを覚え受診したところ糖尿病が進行して薬だけではコントロールできなくなりインスリン注射を始めた。

    糖尿病は単に血糖値を下げればいい病気ではない。もしそうならインスリンで解決するはずだが現実そうではない。血糖値が下がることと病気が治ることは同じではない。「DPP-4」など新薬が開発され治療の選択枝は広がっているが、一番大切なことは食事療法と運動療法をベースに生活習慣を改善し、その上に適切な薬の選択がある。

    鍼灸治療が糖尿病に対して出来ることは全身状態の改善。膵臓だけが弱っているわけではない。漢方医学では糖尿病は肺熱、胃熱、腎虚の三つの異変と考える。経絡的には肺経、胃経、腎経を自律神経的には交感神経の抑制を中心に治療する。この患者さんの場合は先ず腰臀部の痛みを取り30分くらいは歩けるようにすることから始まる。

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  • Posted by へんせき at 23:58Comments(0)生活習慣病

    2010年10月12日

    二週間続く首の痛み

    2週間ほど前、起床時に首を動かそうとすると左の首筋に痛みを感じた。寝違えたかと思ったが2~3日経っても痛みがとれない。そのうち右側も痛くなった。湿布やエレキバンを貼ってみたが治らないので来院された。

    じっとしていると頚部が重だるい。左後ろを振り向く動作と左側屈で左の首の付け根付近が痛い。首の後屈と回転は痛くて出来ない。このような症状は初めてかと尋ねると過去似たようなことがあったが数日で自然に治ったとのこと。また15年前に交通事故でむち打ち症を患ったことがある。

    思い当たる原因が特にないとのことなので、鎮痛を第一義的に治療し原因はその後考えることにした。首の振り向き動作は大腸経、側屈は胆経、三焦経、回転は肝経、督脈が関係している。これらの経絡に鍼をしてどれが一番変化するかチェックしていくと、督脈がいいようだ。

    首の右側の痛みはほとんど取れたが、左への動きでまだ残っている。首の回転はゆっくり出来るようになったが左斜め後ろの位置で痛みが出る。次に円皮針の治療をした。痛みが出る姿勢で圧通点を探し、そこに円皮針を貼る。何度か繰り返し5ヶ所に針を貼った。

    ここでまた首の左側屈と回転をしてもらうと、痛みはまだ3割ぐらい残っているが痛む場所が限定されてきたとのこと。来院時に比べると動きもかなりスムーズになったそうだ。ここで治療終了し、どのくらい効果が持続するか経過をみていただくことにした。次回の治療では過去のむち打ち症や手術痕と関係があるか調べなければならない。



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  • Posted by へんせき at 22:39Comments(0)運動器疾患

    2010年10月10日

    右半身の血流が悪い不定愁訴

    昨日来院の60歳代女性。問診表の主訴には右半身の血行不良、首肩の凝りで気持ちが悪くなると書いてある。既往症には胃がん、心臓、胆のうとある。

    詳しく話をうかがうと、顔や腕が右半分、冷えたような感覚の異常があるそうだ。医者に上手く症状を表現できずなかなか分かってもらえなく、首や肩が凝ってくると気持ちが悪くなるそうだ。

    25年前胃の全摘手術を受け、現在心臓の治療でヘルベッサー、胆のうの治療でウルソを処方されている。心臓は安静時、特に明け方に咽喉や胸が痛くなるとのことなので異型性狭心症と思われる。胆のうは胆石と診断されている。他に何かないかお聞きすると、40年前に帝王切開、中学生のとき虫垂炎手術をしている。

    さらに、現在右下の親不知を治療中で来週抜歯予定。歯の影響とは思わないがこの2ヶ月ほど咽喉に違和感があり物を飲み込むと少し痛いそうだ。来週の抜歯に備え体調を良くしておきたいとの思い出受診された。

    沢山の自覚症状があるが、最初なので首の凝りと顔の違和感を対象に治療した。首は後屈と回転で痛みが出る。手と足と頭のツボに鍼をしたがいまいち効果がない。左右の視力が違い遠近両用の眼鏡をしているので眼精疲労から来ているとも思ったが、3回も腹部の手術をしているのでお腹を診てみた。

    壁を背にして立ってもらい、手術痕やその周囲を調べると8ヶ所の圧痛点が見つかる。ここに円皮針を貼って首を動かしてもらうと痛みはなくなっていた。この段階で患者さんは手足が温かくなって、顔の違和感が軽くなってきたとおっしゃる。おそらく交感神経が抑制され末梢血管が広がってきたのではないかと思う。

    患者さんから鍼は痛い患部にしなくて効くのかと質問を受けたが、局所一点にポイントがある時もあるが、離れた部位に治療点が存在することが多い。そこを探し出す過程が難しい。今日の治療効果がどのくらい続くか、眼精疲労は影響しているか、咽喉の違和感は何が原因か次回治療の課題だ。

      

  • Posted by へんせき at 23:34Comments(0)不定愁訴・体調管理

    2010年10月08日

    月経前症候群と月経前不快気分障害

    月経前の体の不調はほとんど月経前症候群(PMS)であることが多いが稀に月経前不快気分障害(PMDD)もある。どちらも身体症状、精神症状が出るが、どう違うかと言うとPMSは肩が凝る、だるい、眠い、腰痛、腹痛、乳房が張るなど身体症状が強く出て、PMDDは精神症状がひどく出て人が変わると言うぐらい感情や行動の制御ができなくなる。

    不思議なことに月経が始まるとこれらの症状は消失するが、毎月同じようなことを繰り返す。医療機関の受診に当たっては、PMSなら婦人科、PMDDなら精神科の範疇だが身体症状が強ければ先ずは婦人科でいいと思う。

    治療はPMSは低容量ピル、PMDDはSSRIを使うのが標準的治療だが漢方薬を用いる場合もある。現在鍼灸治療を続けているPMDDの患者さんは低容量ピルは副作用が出て使えず、漢方薬のみ処方されている。PMSの治験例はいくつかあるが、今回PMDDの患者さんを診る機会を得た。

    この両疾患は違いはあるが同一線上の疾患と考えられている。しかし鍼灸治療では同じ手法では上手く行かないようだ。自律神経的に反対の症状のような感じがする。まだ2回の治療だが2回目の治療の方がいいと言われた。月経開始から次の月経前1週間の間は正常なのでその間にお灸の自宅治療をお勧めした。



      

  • Posted by へんせき at 23:56Comments(0)小児・婦人科

    2010年10月07日

    額関節の痛みとインプラント

    1年半ほど血圧管理のため鍼灸治療を定期的に続けている60歳代の女性が2日前から歯を噛み締めると左の額関節から耳の下に痛みを感じると言う。口を開く時には痛まない。

    額関節症の主な症状は額関節付近の痛み、筋肉のこり、口を開けない、関節の異常音、物がよく噛めない等である。本当に顎関節症か否かは歯科や口腔外科でかみ合わせの検査、額関節の画像診断、筋電図、顎の動きの測定などしないと確定できない。

    頬から顎、側頚部を触診してみると明らかに左右差があり患側は筋肉が凝って硬くなっている。左の上奥歯2本は4年前インプラント治療が上手く行かず土台を残したまま人工の歯をはずしたままになっているそうだ。このことも関係しているのか?

    治療は咀嚼にかかわる筋肉の痛み、凝りと仮定して行った。2~3回鍼治療して凝りがほぐれ痛みが取れればいいし、治らない時は歯科で調べてもらうことにした。胃経、胆経、三焦経、小腸経の要穴に鍼、噛み締めて痛い圧痛点に円皮針、圧痛点の反体側に強めの鍼をした。

    近年インプラント治療は日進月歩で進んでいるが、この方のようなケースも稀にある。2週間ほど前NHK「ラジオあさいちばん」健康ライフの中で東京医科歯科大学病院の春日井昇平先生が「安心してインプラント治療を受けるために」と題してお話されていた。それを聴いていてインプラントは歯を失った場合現行ベストの治療法だがパーフェクトではないと思った。

    体に関してはどんな代用物ができようと生まれ持ってきたものよりいいものはない。人は失って初めてそのありがたさが分かる。いまあるものを大切にしよう。  

  • Posted by へんせき at 19:51Comments(0)不定愁訴・体調管理

    2010年10月05日

    パーキンソン病の相談

    今日来院された患者さんから知人のパーキンソン病について相談を受けた。この方はよく永六輔さんのラジオ番組を聴いているそうで、放送のなかでご自身鍼治療をしてパーキンソン病に効果が出ているようだとのお話があったとのこと。そこで鍼灸はパーキンソン病に効くかとのお尋ねになった。

    パーキンソン病は、中脳の黒質に異常が起こり神経伝達物質のドーパミンの不足が原因と言われる難病指定疾患である。ドーパミンは加齢と共に減っていくがパーキンソン病では急激に減り、手足が震える、動作が鈍くなる、筋肉がこわばる、姿勢の保持が出来ない、動作をコントロール出来ないなどの症状を呈する。

    一般的な治療は薬物療法で、Lドーパ製剤をどう使うかが一番のポイントになる。この薬はよく効くと言われているが数年すると効く時間が短くなったり、手足が勝手に動く副作用が出てくる。この段階でも薬の組み合わせや飲み方の工夫で効果を持続させることも可能と言われている。

    鍼灸治療をすると、筋肉のこわばりが軽くなりその結果動作がスムーズになるのは確かにそうだと感じる。しかし、ドーパミンの分泌量が増えて進行が止まるとは言えない。少ない症例ではあるが、頭のツボ、刺絡、自律神経の調整は症状の軽減に作用すると思う。1例だけだが歩くこともおぼつかなかった70歳代の女性が旅行に行けるまでよくなったことを経験している。

    現代医療では新しい治療としてDBSや新薬の開発、臨床試験が始まっている。症状の進行を遅らせ、日常動作の改善に鍼灸治療が役立つなら試していただきたい。  

  • Posted by へんせき at 23:56Comments(0)脳・精神・神経

    2010年10月04日

    ドライアイの鍼灸治療

    ドライアイは涙の分泌量が減ったり、涙を目の表面に保つ物質が減って、目の乾きや目の疲れを感じる病気だ。涙には「乾燥を防ぐ」「栄養を運ぶ」「異物を洗い流す」など重要な役割がある。ドライアイの原因は幾つかあるが一番の原因は『涙』にある。

    20歳代男性が目の疲れを主訴として来院された。2年前に近視のレーシック手術をしている。話を聞くと目がゴロゴロして、眼が疲れ、首が凝るそうだ。

    目の治療でよく使うツボは頭と顔面部で、治療直後に周りが明るい、文字がくっきりする、目が開きやすい、痛みが減るなどの変化を自覚できる。目の周囲は毛細血管が多いので、内出血を防ぐ為鍼をするときは太さ0.1mmを極細の針か円皮針をする。また刺絡治療はより効果がある。

    ドライアイは目の生活習慣とも密接にかかわっている。「パソコン」はまばたきの回数が減り涙の分泌が減る、「エアコン」は乾燥させ涙の蒸発を進める、「コンタクトレンズ」はムチンの分泌を減らす。このようなことを意識して生活することが大切だ。

    眼科での治療は点眼薬や涙点プラグになるが、日常生活に注意し目のツボを自己指圧したりすることでもずいぶん楽になる。まれに「シェーグレン症候群」のような涙や唾液が出にくくなる病気もあるので気になる方は一度眼科を受診されるといい。  

  • Posted by へんせき at 09:55Comments(2)感覚器疾患

    2010年10月01日

    気分の落ち込みを鍼灸で調整

    30歳代の女性。うつ病ではないが精神科で抗うつ剤と安定剤を処方されている。3年ほど割りと安定していたが、2ヶ月ほど前から気分が落ち込むことが多くなり時々出社するのが辛く休んでしまう。1ヶ月前にパキシルに加えジェイゾロフトが処方されたが、症状がいまいち改善しない。

    朝起きるのが辛く、やる気が出ず休みなら一日中寝ていたいが、出勤すれば仕事はできる。精神科ではずっと薬物治療だったが今回カウンセリングを紹介され1回受診したそうだ。感想を聞いたら症状が楽になる実感がなく、半信半疑だがもう少し続けてみるとのこと。

    治療はお灸を中心に生気の虚を補い(肺経、脾経、腎経、督脈)頭部の反応点に鍼を加えた。自律神経的には交感神経を活発にする必要がある。この患者さんには早起き、運動が必須であるが本人は分かっていてもなかなか実行できない。

    治療の後は来た時より体が楽になったそうだが、どれくらい持続するかは何とも言えない。自宅でお灸を続けて、気持ちが少しでも前向きになった時には体を動かすことを勧めた。今のところまだ身体症状(頭痛、吐気、動悸、不眠、消化器症状など)が軽いので早く回復できればと思う。  

  • Posted by へんせき at 23:04Comments(0)脳・精神・神経