突発性難聴退院後の鍼灸治療

へんせき

2012年12月16日 21:46

38歳主婦、11月22日午前中に急に左耳が聴こえ難くなった。午後耳鼻科を受診中にめまいと吐き気がひどくなり大学病院に運ばれ入院となった。ステロイド剤を中心とした点滴治療を一週間続け退院した。

退院2日後に来院される。現状は左耳の聴力が戻らず聞き取りずらく、平衡感覚が上手く取れず船酔い状態、頭が重く食欲もなく日常生活に支障があるとのこと。医者は初期治療はやったので後は薬を飲みながら経過をみていくそうだ。

今はふわふわ感がありゆっくりとしか歩けなく、首を動かし難く左を下にしては横になれない。体がとても冷たいので15分足湯をしてから治療を始める。H5とH6で首の動きが少しよくなるが聴力は変化なし。耳の周囲と頭部に鍼をして同時に左胸鎖乳突筋の緊張を緩める。自宅でF3H5F5の井穴刺絡を指示。

三日後2回目の治療。首が楽になり左を下にしても寝られるようになった。治療はH5F5F3の井穴刺絡。首の後屈で突っ張りがあるのでF6F4。左側頭部3ヶ所から刺絡をする。足湯と自宅治療は続けて頂くことにして治療終了。

三日後3回目の治療。寝返りが出来るようになり首も回せるようになる。平衡感覚は少しずつよくなっているが、まだふわふわ感がありゆっくり歩いている。耳鳴は続いているが高い音が幾分抑えられた。乗り物に乗るのは嫌だったがバスに乗り始めた。周りに騒音があると気分が悪い。治療はF34H46と百会の刺絡。耳介の交感神経点にパイオを貼る。

四日後4回目の治療。首の動きは全てOK、家事も出来るようになった。耳鳴はキーンピーンとした高音で聴こえ具合は左耳は水中で聞いているような感じ。平衡感覚はだいぶよくなり片足立ちで靴下を履けるようになり歩きも早くなった。日常生活も退院直後に比べるとよくなっているので聴力がもう少し上がって欲しいとのこと。

突発性難聴はあるとき突然片耳が聞こえなくなる病気と言われるが、後で思い返すとしばらく前から軽い耳鳴りや詰まり感があったりするようだ。発症の程度も聞こえが少し悪いくらいからまったく聴こえないまでいろいろある。この方のように激しいめまいを伴ったものは聴力の回復が難しいと言われているが鍼治療が奏効する例もあるのでもうしばらく継続予定。

病院での治療としては他に高気圧酸素療法やデフィブラーゼ点滴療法などがあるので担当医に相談してみるようにお話している。突発性難聴は時間との勝負という一面もあるので無駄に時を過ごしてはいけない。


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