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Posted by たまりば運営事務局 at

2010年05月20日

治る腰痛と危険な腰痛

鍼灸院で取り扱う疾患で一番多いのが腰痛だと思う。知り合いの整形外科医も腰痛の患者さんが一番多いと言っていた。腰痛は急性と慢性に大別されるが病名が特定される腰痛は少なく原因不明のことが多い。

急性腰痛では俗に魔女の一撃と言われるギックリ腰に見舞われると数日動けなくなる。しかし予後は良好で何もしなくても1週間から10日動けるようになり1ヶ月以内に生活に不自由なくなる。急性でも慢性でも腰痛で最も気を付けなければいけないことは、稀ではあるがすい臓がん、腰椎や骨盤への転移がん、尿管結石、骨髄炎などが原因の腰痛だ。

過去何名か残念な経過をたどった症例がある。60歳代女性。上腹部の不快感と左の腰部の鈍痛。2回治療したが症状が変わらないので病院での検査を勧めた。手術不可のすい臓がんと診断され8ヵ月後に旅立たれた。すい臓がんを早期に発見するのは非常に困難だがいつもと違う左腰の上部に異常を感じるなら一考を要する。一般的に内臓からの腰痛は安静にしていても痛む。

60歳代男性。腰と腰椎、胸椎下部の痛み。過去に胃がんの手術を受け、現在前立腺肥大症の治療中であった。最初の治療で腰椎、胸椎に圧痛がありその痛みが治療で取れなかった。胃がんの骨転移もあるかなと思ったが患者さんは胃がんは完治していると仰る。2回目の治療の後圧迫骨折などの器質的疾患を疑い検査を勧めた。その2日後血尿が出てトイレで動けなくなったと電話がある。救急車を呼ぶよう指示した。結果前立腺がんが骨に転移していた。奥さんは泌尿器科に通院していたのにどうしてこうなったのかお嘆きであった。

60歳代女性。調布市内の整体院に20回以上通院しても腰から大腿の痛みが良くならない。整体院は施術を続ければ良くなると言うが信用できなくなり来院された。よく診ると腰、大腿の他、肋骨にも痛みがある。既往歴を聞くと3年前に左乳癌全摘。その後術後のフォローをせずサプリで免疫力を高めるといううたい文句のクリニックにかよっている。はり治療の後痛みがとれ久しぶりに普通に歩けるという。その足で娘さんと新宿に買い物に出るがデパートで痛くなりタクシーで帰宅。往診を依頼されこの痛み方は乳がんの転移の可能性があるとお話しして検査に行くように勧めた。全身に転移していて6ヵ月後にお亡くなりになった。

尋常でない腰痛はよく観察して治療すれば自分の範疇か否かは判断できる。鍼灸院では年に1例あるかないか本当に稀ではあるが注意している。腰痛には牽引などの理学療法、鎮痛剤、麻酔薬による神経ブロック、腰痛体操、鍼灸、整体、などの治療があるが急性腰痛は何も治療せず普通の生活をすると早く治るという報告がある。鍼灸に限れば治療者の技術の差が大きい印象がある。またごく普通に行われている牽引や神経ブロックが無効・有害との報告もある。一般的な慢性腰痛はあわてずに良く治療法を調べ信頼できる治療所を探すことが大事だ。  

  • Posted by へんせき at 22:57Comments(2)運動器疾患